先月の参院選のあと、自民党内には石破おろしの動きもあったが最新の世論調査では相反する結果となった。石破内閣の支持率を示したグラフは先月・参院選直後に行った調査では「支持しない」が67%、「支持する」が22%だったが、最新の結果では「支持しない」が50%で17ポイントも下がった。そして「支持する」が39%で17ポイント上がった。同じ内閣での17%上昇は2002年に当時の小泉総理が北朝鮮を訪問した直後の上昇幅に次ぐもの。先月の世論調査は参院選直後にあった。この翌日、トランプ関税の合意があり関税が15%に引き下がった。今月5日はコメを増産する方針を打ち出した。今回の調査でもコメ増産には86%の人が支持している。その後今月6日・9日の広島、長崎での挨拶は被爆者の短歌を引用するなどして評価する声も聞かれた。そして終戦の日も「反省」という言葉を13年ぶりに使うなど石破カラーを打ち出した。お盆期間は株価が史上最高値を更新したことも要因としてあげられる。下旬は「TICAD」の共同議長を石破総理がつとめて34カ国のトップと会談を重ねた。極め付きはおとといの日韓首脳会談。ここで17年ぶりの日韓首脳の共同文書の成果として会談した。石破総理周辺はこの1ヶ月について「マイナスポイントがなかった、石破総理らしさが出せた」と振り返っている。“石破おろし”もマイナスと思いきや石破総理にとってはプラスに働いたという指摘もある。先月29日には裏金で処分された旧安倍派の幹部の世耕氏がテレビ番組に出演し石破批判を公然と語った。これは永田町でも大きなターニングポイントになったという人も多いが、「裏金議員が何を言っているんだ」との批判も起こり、石破総理にとっては逆に追い風になった。こうした旧安倍派の動きが石破総理の続投への意思をより固くしたとも言われている。石破首相について辞任すべきと「思わない」という声が50%で「辞任すべき」を上回った。これを自民党支持層に限って見ると辞任すべきと「思わない」が74%にものぼった。ほかにも参院選の敗北は石破総理の責任が大きいと思うか?と問うたところ「思う」が50%、「思わない」が44%だったが、自民党支持層に限ると逆転し「思う」が39%に下がった。自民党支持層は「参院選の結果『政治とカネ』問題を抱えた議員の責任が大きいと思う」という人が79%だった。元議員は「石破総理1人のせいにして済ませようという考えに支持者はへきえきしている」と話している。こうしたなか総裁選前倒しの議論もあるが、今回の調査では全体では「賛成」が52%、「反対」は35%だった。これを自民党支持層に限ると「賛成」が38%、「反対」が50%だった。次の自民党総裁にふさわしい人を聞くと1位が高市さん、2位が小泉大臣、3位が石破総理だった、自民党支持層に限ると1位が小泉大臣、2位が石破総理、3位が高市さんとなった。専門家は「自民党支持層の多くを占める穏健保守層は石破首相が辞任すると高市氏などより右派的なリーダーが自民党総裁になる可能性が高まるので警戒している」と分析している。