9月下旬、スリランカの債務再編交渉は大詰めを迎えた。各国とのオンライン会合を翌日に控え、会合での議題を取り仕切る真船貴史開発金融専門官が合意案の検討を続けていた。焦点のひとつは金利水準。パリクラブに属さない中国やインドに配慮し、金利を高めに設定した案も提示した。会合は2時間に及び、各国の理解は得られつつあった。しかし一部の国は中国への懸念を示し、合意への疑問を呈した。エイドデータ研究所は、中国が債権を回収するための抜け道となる専用口座の詳細を突き止めた。中国の手法は各国との交渉の足かせとなる。そして迎えた10月のIMF・世界銀行年次総会。現地でもギリギリまで交渉を重ねたが、大筋合意には至らなかった。さらに日本主導の交渉に先んじて、中国が単独でスリランカと合意した。神田財務官は中国を含めた国際協調が日本にとって避けられない課題だと話した。