インドネシア大統領選は三つどもえの争いとなっている。ジョコ大統領の後継者を自任するプラボウォ国防相は事前の世論調査の支持率が50%余と他の候補者を大きく引き離しているが、かつて人権侵害に関与していたと問題視する声も挙がっている。独裁的なスハルト政権を軍の最高幹部として支え、民主活動家の拉致事件に関与して軍籍を剥奪された過去を持つ。過去2回の大統領選に立候補するもジョコ大統領に敗れた。かわいいキャラクターを使って親しみやすさを全面に出している。プラボウォ氏が踊る動画は“かわいい”というコメントと一緒にSNSで拡散された。有権者の半数以上を占める40歳以下の若い世代を意識した選挙戦を展開した。副大統領候補にはジョコ大統領の長男・ギブラン氏を指名した。36歳の若さで市長を務めている。候補者との会話を体験できる新技術も導入した。実際に話しているのは支持者だが、AIを使って候補者映像と組み合わせることで直接会話しているような体験が可能だという。インドネシアでは選挙運動におけるAIの使用を禁止していない。プラボウォ氏は40歳以下の年代でトップの支持率を得ている。アニス前ジャカルタ州知事は経済格差の是正を公約に現政権に対する批判票の取り込みをはかる。ガンジャル前中部ジャワ州知事はジョコ政権の主要政策は継続し、さらに発展させると訴えている。現在続いている開票作業ではプラボウォ氏が大幅にリードと報じられているが、どの候補者も過半数の得票に満たない場合、6月に上位2人による決選投票となる。正式結果は選管による3月20日までの再集計を経て発表される予定。