能登半島地震の被災地では、心配の声も。石川・穴水町の仮設住宅・川島第3団地の代表の馬渡秀男さんの不安の理由は、すぐ近くを流れる川だとし「たくさん(雨が)降ったら堤防を越えて水浸しになる」等と話す。この仮設住宅は浸水想定区域にあり、最大で3m浸水するおそれがある。川と反対側には山の斜面が。土砂災害警戒区域にも指定されている。約3か月間の避難所生活を経て、この仮設住宅に入居した馬渡代表は、自宅まで徒歩10分ほど。病院や役場もすぐ近くにあるこの場所は便利だという。その一方で馬渡代表は「雨がじゃんじゃん降ってくるとどこまで水位が上がって、どうなるか。逃げ場がない」と語った。リスクがある仮設住宅は、各地に点在している。被災地の洪水の浸水想定区域、土砂災害警戒区域の図では、ハザードマップなどで危険エリアとされる場所が示される。9つの市と町に取材したところ、このエリアにある仮設住宅は67か所。建設予定を含む159か所の4割余に上ることが分かった。こうした場所が選ばれた理由は自治体の多くが用地を確保する難しさを挙げ、生活の利便性や被災者の強い要望が背景にあったケースもあったという。石川・穴水町の仮設住宅には、43世帯が暮らしている。主に町内の5つの地区から住民が集まっている。仮設住宅で代表を務める馬渡秀男さんは周辺のハザードマップの内容を知らない人も多いのではないかと考えている。「今後、住民どうしで議論しながら、大雨への備えを進めていきたい」と考えている。静岡大学・牛山素行教授は「仮設住宅が“危険エリア”にあることはやむをえず、行政は住民にハザードマップの情報を周知することが不可欠」とし、「住民に対しても災害のリスクを確認しておくことが重要」としている。あすからは北陸などで激しい雨が予想されている。