佐世保市の高校1年生前田彩葉さんは先天性の難聴で、人工内耳を付けているが周囲の音を聞き分けることは今も難しいという。2歳のときに人工内耳手術を行った彩葉さんだがすぐに聞こえるようになったわけではない。母の亮子さんは絵日記を作って毎日の出来事を絵と言葉にして諦めず伝え続けた。小学校に入る前にはことばを発することができるようになっていた。音が聞こえるようになった彩葉さんに新たな願いが芽生えた。それは音楽を奏でられるようになることで、聴覚障害がある音楽家の演奏に触れたことがきっかけで小学6年生の時にピアノと歌を習い始めた。音程の違いを聞き分けるのが難しい彩葉さんは音を出す時は手の感覚に頼るしかない。弾きたい音に合わせた指の形や幅を繰り返し練習して身につけていく。大好きな音楽を通じて自分の思いを伝えたいと彩葉さんが挑戦するのが自ら作詞した曲の弾き語り。タイトルは「My Story」、葛藤を乗り越えて前を向こうと思えるようになった自分を表現した。しかし思いを伝える歌で壁にぶつかる。正しい音程で歌い続けられない。のどの開閉で音の高さをコントロールする感覚をさぐる。迎えた発表の日、会場には約80人の観客が訪れた。そのメッセージは観客の心にまっすぐ届いていた。
