上場企業の株主総会が、きょうピークを迎えた。業界大手の製紙会社、北越コーポレーションの株主総会。16年にわたって社長を続けている岸本晢夫社長の解任を求める株主提案が出された。提案したのは、香港の投資ファンド、いわゆるアクティビスト。これに対して北越は「批判は全く事実に反している」と反論していた。きょうの株主総会で採決の結果、提案は否決された。ただ、別の大株主も解任に賛同した結果、賛成はおよそ4割に上ったと見られる。今月、株主総会を開く上場企業のうち、アクティビストなどからの株主提案を受けたのは91社と、3年連続で過去最多を更新。東京証券取引所が去年、すべての上場企業に対して、資本コストと株価を意識した経営を要請したことなども追い風となっている。実際に経営陣の刷新を求めるアクティビストの提案が一部通ったケースも出ている。東京のアパレル企業、ダイドーリミテッドでは、きょうの総会で、経営不振を理由に提案した新たな取締役候補者のうち3人の選任が可決された。一方、アクティビストが資本の有効活用を求めたケースも。私鉄大手の京成電鉄は東京ディズニーリゾートを運営する会社の筆頭株主だが、英国の投資ファンドが、一部を売却してその資金を運賃の値下げや駅の安全対策などに充てるよう求めた。これに対し会社側は、売却の方法やタイミングの慎重な検討が必要だなどと反対。採決の結果、提案は否決された。ことしの株主総会では、経営改革を求めるアクティビストからの提案が相次ぎ、企業は対応を迫られた。否決されるケースも多く見られたが、株主からの提言を経営改革のきっかけとする企業も出てきている。歴史的な円安、人手不足、それに金利のある世界の到来など、経営環境が大きく変わる中、その変化にどう対応するのか。守りの経営ではなく、成長に向けた戦略を描き、株主の期待に応えられるかが問われている。
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