2年に1度行われる米国軍の大規模な実動演習「バリアントシールド」(勇敢な盾)。これまで米国軍が単独でグアムを中心に実施してきたが、今回初めて日本にも範囲を拡大した。北海道〜九州まで、自衛隊の基地などを拠点に広い範囲で演習が行われている。宮城・航空自衛隊松島基地では先週、米国軍の輸送機が離陸していた。青森・海上自衛隊八戸航空基地では、きのう駐機場に米国軍の関係者と見られる人の姿があった。これらの基地では、米国軍の戦闘機が展開する訓練が初めて行われる予定。防衛省関係者は「青森・米軍三沢基地が攻撃された場合に、近くの自衛隊の基地をスムーズに使うことができるか試しておきたいねらいがあると見られる」と話している。範囲を日本本土などに広げた背景には、台湾周辺や南シナ海などで活動を活発化させている中国の存在があると見られる。米国軍は、中国が有事の際の防衛ラインとして、南西諸島から台湾、フィリピンに至る第1列島線、小笠原諸島からグアム、パラオに至る第2列島線を重視していると分析。中国が日本や第2列島線まで届く弾道ミサイルを配備するなどして、米国軍の接近を阻止する戦略を取っていると見ている。これまでの演習は、第2列島線上のグアムを中心に米国軍が単独で実施してきた。今回は初めて日本本土や第1列島線にも範囲を拡大。日本の自衛隊を含む多国間の演習にした。演習初日には、九州南部の沖合に原子力空母・ロナルドレーガンが展開され、艦載機が発着する訓練を繰り返し行っていた。さらに南シナ海にも別の原子力空母を展開し、フランス軍やカナダ軍の艦艇も参加。今回の演習で一部の自衛隊基地では初めて米軍の戦闘機が展開することになる。今日防衛省と米国・国防総省は、米国本土などに所属する艦船を日本で補修できるようにするための作業部会の初会合を開いた。4月の日米首脳会談での合意を受け、日本と米国の安全保障面での連携強化は、さまざまな分野で進んでいる。