県内有数の米どころとして知られる宮城・名取市では9月、セリの苗作りの準備が行われた。化学肥料に頼らない農家の三浦隆弘氏は採ったセリを切り刻み、水を湛えた田んぼに撒いた。生命力が強く、数週間もすれば、新芽が伸びてくる。水温は15度で、冬でも温かく、歯ごたえのよいセリを栽培するのに最適とされている。加えて、栄養たっぷりの土作りを担うイトミミズも元気。飛来してくるタカブシギ、ハクセキレイは葉を食べる虫を啄み、トンボなどの姿も見られた。収穫したセリを使った鍋料理は宮城県の名物で、全国でも食べられるようになった。12月、土の中でじっとしているはずのクモが田んぼを動き回り、水中ではヒメゲンゴロウの姿があった。三浦氏は「生き物と植物に寄り添うことで、美味しいものができあがっている」と語った。