名古屋港の一角にある藤前干潟は、月に2度訪れる大潮の間、大きく潮が引くことで姿を現す。干潟の案内人は「ガタレンジャー」と呼ばれる。梅村幸稔さん(50)もその1人。干潟にいる貝や魚について説明してくれた。小学生の時に初めて藤前干潟を訪れ、野鳥の姿に圧倒されたという。干潟には約120種類の野鳥がやって来る。梅村さんが次に興味を持ったのが泥の中に住む底生生物だった。1990年代に名古屋市は増え続けるゴミの処分場として藤前干潟を候補地とした。干潟を保全するための運動が起こり、当時専門学校生だった梅村さんも参加した。運動は大きなうねりとなり、名古屋市は1999年に埋め立て計画を中止。ゴミ減量化を目指して分別収集を開始した。2002年にはラムサール条約に登録された。梅村の妻・宏美さん(51)は夫に誘われて干潟に関わるようになった。それまで干潟のことは全く知らなかったという。保全運動で使われたイラストは宏美さんが描いた。梅村さんが被っているカニの帽子は宏美さんの手作り。宏美さんはNPO法人「藤前干潟を守る会」の会報のイラストも描いている。長女・美羽さん(16)が彩色したTシャツも制作した。
梅村さんの部屋には双眼鏡や三脚などたくさんの機材があった。その理由を探るため、早朝に出発した梅村さんに同行した。向かった先は藤前干潟ではなく、愛知県内の山奥だった。見つけたヌマガエルを撮影。続いて撮影したのは泥がついた木の幹。イノシシのマーキングだという。視界が開けた場所に出るとバードウォッチングを始めた。眼だけでなく耳も使う。音だけで鳥の種類や数が分かるという。梅村さんの本業は自然環境調査員。自治体から調査依頼を受けた仕事だった。河口だけでなく、源流・中流の生態系も含めて紹介できるのが利点だと語った。
梅村さんが所属するNPO法人「藤前干潟を守る会」は毎月2回、市民向けの観察会を主催している。案内役のガタレンジャーになるためには守る会が開く養成講座を受講する。梅村さんは干潟に生息するカニについて講義した。ガタレンジャーに任命されると観察会の手伝いを始める。高校生でガタレンジャーになった加藤翔太さん(18)は案内人としてのスキルを磨いている。水族館の飼育員を目指しているという。渡り鳥の観測地点として有名な伊良湖岬はガタレンジャーにとって絶好のトレーニング場となっている。年末にはガタレンジャーの望年会が開かれた。希望をつなごうと「望」の字を使っている。ガタレンジャーは高齢化が課題だが、加藤さんや西村さんたち若手の加入が希望となった。
梅村さんの部屋には双眼鏡や三脚などたくさんの機材があった。その理由を探るため、早朝に出発した梅村さんに同行した。向かった先は藤前干潟ではなく、愛知県内の山奥だった。見つけたヌマガエルを撮影。続いて撮影したのは泥がついた木の幹。イノシシのマーキングだという。視界が開けた場所に出るとバードウォッチングを始めた。眼だけでなく耳も使う。音だけで鳥の種類や数が分かるという。梅村さんの本業は自然環境調査員。自治体から調査依頼を受けた仕事だった。河口だけでなく、源流・中流の生態系も含めて紹介できるのが利点だと語った。
梅村さんが所属するNPO法人「藤前干潟を守る会」は毎月2回、市民向けの観察会を主催している。案内役のガタレンジャーになるためには守る会が開く養成講座を受講する。梅村さんは干潟に生息するカニについて講義した。ガタレンジャーに任命されると観察会の手伝いを始める。高校生でガタレンジャーになった加藤翔太さん(18)は案内人としてのスキルを磨いている。水族館の飼育員を目指しているという。渡り鳥の観測地点として有名な伊良湖岬はガタレンジャーにとって絶好のトレーニング場となっている。年末にはガタレンジャーの望年会が開かれた。希望をつなごうと「望」の字を使っている。ガタレンジャーは高齢化が課題だが、加藤さんや西村さんたち若手の加入が希望となった。