紀州高野組子細工師の池田秀孝さん。中学卒業後、父の跡を継ぐため修行をはじめた。職人としての自身に繋がったのはアルミサッシに組子を施してほしいという依頼だった。この作品が評判となり、組子細工という道で一本立ちしていこうと決めた。これまで地元の施設に作品を寄贈するだけでなく、皇室にも作品を献上してきた。作業工程をみせていただいた。使うのは高野山でとれた木材。まずは枠組みを作る。溝にはめ込み組み合わせいくことでキャンバスが完成。色の濃さや木目の異なる木片をはめ込んでいく。一つ一つ木片を入れ込み角度を調整する。緻密な作業を繰り返していく。一番細かい木片は1ミリほど。池田さんが独自に編み出した技法は「きのくに・ちぎれはめ込み技法」と名付けた。池田さんのあった工房は10年ほど前に火災に巻き込まれ全てを失った。その中には15年かけて取り組んできた大作もあったという。そんな池田さんを励ましたのはもっと池田さんの作品をみたいという声だった。令和5年度には和歌山県名匠にも選ばれた。今、池田さんは色を染めた木材を使うことで、絵画のような鮮やかな組子細工に発展させている。