成田空港会社の田村明比古社長が会見で航空機の発着を支える「グランドハンドリング」業務での深刻な人手不足を憂いていた。グランドハンドリングは航空機の地上誘導や荷物の積み降ろし、チェックインカウンター業務など幅広い仕事を担っている。コロナ禍で航空需要の減少で人員が減っている反面、最近は外国人観光客の増加などで航空需要は伸びている。成田空港では航空会社から業務を委託されているグランドハンドリング会社に初めての調査を行った。その結果、海外の航空会社から新規就航や増便の希望は週に152便あったものの今年度中に受け入れ可能の見通しがたっているのは101便と全体の3分の2に留まった。空港の発着枠には余裕があるということでインバウンド需要を十分に取り込めていない実態が明らかになった。成田空港で地上業務を受託しているグランドハンドリング会社は今月中旬、中国の航空会社から年明けの増便に向けた打診を受けた。前向きに検討することを強調したが今年4月以降15の航空会社から打診があったものの11社は断らざるを得なかったという。人が集まらない要因として賃金の低さが指摘されている。グランドハンドリング会社社員の平均年収は約357万円と類似業種と比べても低い水準となっている。この会社ではことし4月から正社員の給与を平均で5%程度引き上げていて来年もさらに引き上げる方針でなんとか人材を確保したい考え。国土交通省は空港毎に就職説明会を開く経費や従業員教育などの経費を補助するなどしてグランドハンドリングの従業員確保を促し今年度末までにコロナ禍前に近い水準まで人数を回復させることを目指している。