パキスタン政府がアフガニスタンからの不法移民に対し国外退去を求めた背景について見ていく。国連人道問題調整事務所によると1979年に旧ソ連がアフガニスタンに侵攻したため多くの人が隣国のパキスタンに避難した。旧ソ連軍の侵攻開始から1年で避難したひとは400万人以上にのぼった。現在パキスタンにいるアフガニスタン人は国外退去を求められた不法移民170万人のほか難民登録をした人が約130万人、滞在許可を得ている人が約88万人いるという。あるパキスタン政府筋によると、パキスタン政府はすべてのアフガニスタン人の国外退去を望んでいるとし、今後難民登録や滞在許可証を持つ合法的に滞在しているアフガニスタン人も追放するという。パキスタン政府の決定の背景にはどのような背景があるのか。専門家によると政府が強制退去の根拠としているアフガニスタン人による自爆テロの増加に加え、国内経済の悪化が大きいという。パキスタンは去年と今年の2年連続で大規模な洪水に見舞われ、去年の洪水だけでも約4兆5000億円の被害が出たという。さらに農村部も被害を受け、食糧不足が深刻化して、国民の不満がつのり、避難してきたアフガニスタン人の排斥につながっていると指摘している。さらに専門家は「アフガニスタンに帰国しても食を手にし生活できる保証はほとんどなく、生きていけない人が多く出る。アフガニスタンで生産が盛んな大麻の栽培を行うものや、テロ組織に加入するものも出てくる可能性もあり、世界的な治安悪化が懸念される」としている、などと伝えた。