第一の手記を読む。写真の男・葉蔵の目線で自らの幼少期が語られる。裕福な家庭で不自由なく過ごしていたが、自分だけが変わっているような不安と恐怖に襲われ、道化を演じることをおぼえる。その頃葉蔵は、女中や下男から犯されていた。笑われることで守ってきた心の奥に、笑うことでごまかせない何かが沈殿していく。津田は変なヤツ、何でここまでして笑わせたいのかと話した。斎藤は、何もされないために笑わせたいと思っていると解説した。大友は、葉蔵に共感した、学生時代みんなに馴染むためにどうしたらいいか考えていたと話した。第一の手記は、太宰治が人間の視線の中で自分を失う恐怖を性と恥という根本的な形で描き、後に葉蔵がたどる人生の予兆として描かれている。