富士山で大噴火が起きた場合、首都圏には大量の火山灰が降り積もり、社会生活に大きな影響が出るおそれがある。江戸時代だった1707年の宝永噴火に相当するような大規模な噴火が起きて、大量の火山灰が噴出すると、東京や神奈川県などの広い範囲で、数センチから10センチ以上積もるおそれがある。火山や防災の専門家などで作る国の検討会は、富士山などで大規模な噴火が起きた際の対応方針を取りまとめ、きょう、報告書を公表した。人口が密集する首都圏で、火山灰が積もった地域の人たちが、一斉に地域の外に避難することは、現実的ではないとした。30センチ以上積もった地域は、雨が降った際に、木造住宅が倒壊するおそれがあり、原則避難が必要だとしている。30センチ未満の地域は、自宅などで生活を継続するとしているが、住民は可能なら2週間分の備蓄を進めることが必要としている。火山灰の影響は大きく、鉄道では、レールに0.5ミリ積もるだけで、運行が停止するおそれがあり、車は3センチ以上積もると、走行ができなくなると指摘されている。報告書は、30センチ未満でも3センチ以上積もり、停電などの影響が長期化する場合、通院による人工透析や介護サービスが必要な人などは、生活の継続が難しいため、原則避難すべきだとしている。また自治体や事業者などは、ライフラインの維持や復旧に優先的に取り組む必要があるとしている。気象庁も現在、3センチ以上降り積もると予測された場合に、警報として情報を発表すべきかなど議論を進めていて、春ごろに取りまとめる予定。東京大学・藤井敏嗣名誉教授のコメント。