今、温暖化の影響などで海藻の収穫量の減少が各地で問題になっている。そうした中、みそ汁などで需要が高まっているあおさを陸上で養殖しようと、開発拠点が整備され生産が始まった。愛媛県にある、あおさの陸上養殖の施設。大手みそメーカーが年間を通して安定生産することを目指し、5年前から試験養殖を始めた。生産の大きな壁となったのが水温。あおさは通常水温が20度以上になると、成育が極めて難しいとされている。そこで数年かけて全国各地を回り、高い水温でも育つあおさを探し、安定した収穫が見込める株を見つけた。今月から工場ではみそ汁の具の一部として製品化され、販売が始まった。地元では新たに生まれた産業に期待を寄せ、拠点整備の支援などを進めている。メーカーは将来的には年間14トンの生産体制を目指す計画で、雇用の増加が期待されている。さらに陸上養殖が広がれば、海の環境問題の解決にもつながるのではないかと注目されている。メーカーに生産技術の指導をしている徳島文理大学の山本博文教授は、陸上養殖をきっかけに海藻の研究が進むことで、二酸化炭素による海の酸性化などの解決につなげられるのではないかと期待している。現時点では水槽の維持や海水を取り込むための機械の電気代などコストがかかるため、生産量を増やすことで解決できるかが課題となっている。こうした海藻の陸上養殖の開発は各地で行われており、資源の回復につながるか注目。