東京・港区にある東海大学付属高輪台高等学校。全国でも強豪の部活動が吹奏楽部。全日本吹奏楽コンクールに16回出場して金賞11回獲得。赤いブレザーは舞台に上がれるメンバーの証。全国大会は部員160人中55人出場の狭き門。そのうえ10月の全国大会までは8月の東京の予選と9月の都大会を乗り越えなければならない。その高輪台でソロの大役を任されるのが部長の相馬理吏亜さん。トランペットでトップを務める3年生。代々部長の名前で掲げられるスローガン。この言葉の下、部員たちは団結してきた。理吏亜さんの代のスローガンは「邁進」。目標に向かって一心不乱に努力すること。理吏亜さんは7人きょうだいの2番目の長女。大家族で協調性・思いやりに長けていることから顧問の畠田先生に見込まれて部長になったそう。以来プレッシャーを抱えることも多い。ダイナミックな演奏は高輪サウンドと呼ばれ、夏休みは毎日10時間以上の練習量を重ねることで生み出される。部長として大勢の部員に気を配りながらソロという重責を担う理吏亜さん。そのプレッシャーからか東京都大会を目前に思うように音が出ないように。そして先生に吹けないと涙を流して訴えた。先生は理吏亜さんに部長が涙を見せたら皆が動揺すると伝えた。部長として、ソロの奏者として、重圧がのしかかる中、全国大会の出場権がかかる東京都大会の直前、先生は理吏亜さんに廊下で出てソロをオフステージでやってみると指令。オフステージとは観客席から見えない舞台裏で演奏する方法。サプライズ感が出せ、立った姿勢で演奏もできる。実は中学生から立って演奏するマーチングが得意だった理吏亜さん。立ってお腹に力を入れると力強い音が出る。それを知っていた先生が部が勝ち抜くための作戦を考えてくれた。
迎えた東京都大会。理吏亜さんはソロの演奏で舞台裏で吹くオフステージを初めて披露。全国大会進出の立役者になった。東京都大会は勝ち上がった。ただ、高輪台は以前から問題を抱えていた。畠田先生が外部から耳にしたというのが「高輪台のトロンボーン大したことない」という言葉。トロンボーン4人を束ねるトップの三浦怜愛さん。その責任を強く感じていた。涙する三浦さんに寄り添っていたのは部長の理吏亜さんだった。全国大会が1か月後に迫った日の練習。トロンボーンの課題は前半の「9小節」。先生からの指摘は伸ばす音でリズム感が足りない。仙台出身の三浦さんは部長の理吏亜さんと同じく高輪サウンドを響かせたいと母と東京へ。故郷ではレストランで料理長を務める父が単身赴任ならぬ単身留守番。幼い頃からどんな願いも聞いてくれたという父。高輪台に進学させてくれた父に心配かけまいと弱音は吐けなかった。全国大会まで2週間。トロンボーン専門の講師を招いて特訓。課題の「9小節」は伸ばす音でリズム感よく。高輪サウンドを担う1人として努力を続ける三浦さん。側にはいつも理吏亜さんが。迎えた全国大会の前日。名門吹奏楽部の一員として全国の舞台に上がれるのは55人。部員が多い高輪台では100人近くが舞台に上がることができない。その部員たちからサプライズが。3年生のメンバー27人へのメッセージカード。送り主は舞台に上がれない3年生の同級生から。理吏亜さんのカードには同じトランペット奏者で大会直前にメンバーを外れた山口心花さんの言葉が。「コンクールに一緒に出られない悔しさは今もあるけど、魂込めて一緒にコンクール出てる気持ちで見守ります」と応援のエールが綴られていた。
今年掲げてきたスローガンの一心不乱の努力は全国大会当日の本番前にも。出演順が午前9時の一番手ため練習を始めたのは真夜中の2時。先輩たちも経験したことがない逆境の中、彼女たちは夜明け前からの練習を希望したという。本番の会場には仙台から駆けつけた三浦さんの父も。娘からのメッセージには「高輪に来れてよかった」と感謝の言葉が記されていた。舞台に上がることができなかった仲間たちも見守る中、出場30校の一番手で演奏。結果発表では出場30校それぞれに金賞・銀賞・銅賞のいずれかを授与。東海大学付属高輪台高等学校は金賞に輝いた。高輪台の歴史に新たな1ページを刻んだ。表彰式後、理吏亜さんの元へ駆け寄った三浦さん。トロンボーンは先生が「完璧」と評価した。3年間遠くから見守ってくれた父に直接感謝を伝えた。客席から見守った仲間たちも祝福。理吏亜さんは「仲間がいたから今がある」と話す。名門吹奏楽部のバトンは次の代へ受け継がれていく。
迎えた東京都大会。理吏亜さんはソロの演奏で舞台裏で吹くオフステージを初めて披露。全国大会進出の立役者になった。東京都大会は勝ち上がった。ただ、高輪台は以前から問題を抱えていた。畠田先生が外部から耳にしたというのが「高輪台のトロンボーン大したことない」という言葉。トロンボーン4人を束ねるトップの三浦怜愛さん。その責任を強く感じていた。涙する三浦さんに寄り添っていたのは部長の理吏亜さんだった。全国大会が1か月後に迫った日の練習。トロンボーンの課題は前半の「9小節」。先生からの指摘は伸ばす音でリズム感が足りない。仙台出身の三浦さんは部長の理吏亜さんと同じく高輪サウンドを響かせたいと母と東京へ。故郷ではレストランで料理長を務める父が単身赴任ならぬ単身留守番。幼い頃からどんな願いも聞いてくれたという父。高輪台に進学させてくれた父に心配かけまいと弱音は吐けなかった。全国大会まで2週間。トロンボーン専門の講師を招いて特訓。課題の「9小節」は伸ばす音でリズム感よく。高輪サウンドを担う1人として努力を続ける三浦さん。側にはいつも理吏亜さんが。迎えた全国大会の前日。名門吹奏楽部の一員として全国の舞台に上がれるのは55人。部員が多い高輪台では100人近くが舞台に上がることができない。その部員たちからサプライズが。3年生のメンバー27人へのメッセージカード。送り主は舞台に上がれない3年生の同級生から。理吏亜さんのカードには同じトランペット奏者で大会直前にメンバーを外れた山口心花さんの言葉が。「コンクールに一緒に出られない悔しさは今もあるけど、魂込めて一緒にコンクール出てる気持ちで見守ります」と応援のエールが綴られていた。
今年掲げてきたスローガンの一心不乱の努力は全国大会当日の本番前にも。出演順が午前9時の一番手ため練習を始めたのは真夜中の2時。先輩たちも経験したことがない逆境の中、彼女たちは夜明け前からの練習を希望したという。本番の会場には仙台から駆けつけた三浦さんの父も。娘からのメッセージには「高輪に来れてよかった」と感謝の言葉が記されていた。舞台に上がることができなかった仲間たちも見守る中、出場30校の一番手で演奏。結果発表では出場30校それぞれに金賞・銀賞・銅賞のいずれかを授与。東海大学付属高輪台高等学校は金賞に輝いた。高輪台の歴史に新たな1ページを刻んだ。表彰式後、理吏亜さんの元へ駆け寄った三浦さん。トロンボーンは先生が「完璧」と評価した。3年間遠くから見守ってくれた父に直接感謝を伝えた。客席から見守った仲間たちも祝福。理吏亜さんは「仲間がいたから今がある」と話す。名門吹奏楽部のバトンは次の代へ受け継がれていく。