重い心不全の治療にiPS細胞を使った世界初の治験で新たな動きがあった。心臓の筋肉「心筋細胞」は一度壊れると再生しないが、慶応大学の福田恵一名誉教授が立ち上げたベンチャー企業・Heartseed社は、ヒトのiPS細胞から心筋細胞を作り患者の心臓に移植する世界初の治験を行っている。特徴は心筋細胞およそ1000個を塊にした「心筋球」にして心臓に注入する点。重い心不全の患者5人の治験で、それぞれ心筋細胞およそ5000万個を注入した結果、安全性のほか心臓の回復が確認できたという。Heartseed社は独立した安全性評価委員会から承認を得たとして、心筋細胞1億5000万個を注入する治験に進むと発表。2027年の承認を目指している。