終戦から4年後の1949年に設立された日本学術会議。科学者が戦争に協力した反省に基づき、政府から独立して仕事を行う国の特別機関に定められている。会員は、学術会議の推薦に基づき、総理が任命する仕組みになっているが、任命はあくまで形式的なもの。推薦されれた人はみな会員になってきた。2020年秋、当時の菅政権が会員候補6人の任命を拒否したことで、取り巻く環境が変化。6人を外すべき理由は明らかになっていない。多くの科学者が権力の介入ではないかと危機感を抱いた。一方で、プロセスの透明化が不十分だったなどとする意見もあがった。有識者による議論などを経て、今国会に政府が提出したのが、来年10月に学術会議を特殊法人に移行する法案。法案では、特殊法人化に合わせ、会員は総理が任命するのではなく、学術会議が総会で選任する仕組みにする。業務などをチェックする監事と活動を評価する委員会を新たに設け、それぞれ総理が任命する。かえって政府の管理が強まり、独立性が脅かされると学術会議は主張している。法案の修正を含めた慎重な審議を求める声明を発表した。前会長の梶田氏は国会で、法案は組織運営を国が監督する仕組みになっている、過重な監督であり、独立性・自律性の観点から懸念があるなどと述べた。国から補助金を受ける特殊法人である以上、監督が行われることは当然だという主張もある。法案はあすの内閣委員会で採決され、与党と日本維新の会が賛成にまわることで原案のまま可決する見通し。
住所: 東京都港区六本木7-22-34
URL: http://www.scj.go.jp/
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