- 出演者
- 桑子真帆 絹田峻 横山広美
オープニング映像。
ノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった大阪大学 特別栄誉教授・坂口志文さん。坂口さんは制御性T細胞(Tレグ)を発見。このTレグを使った新たな治療法の開発が進んでいる。国内で行われているのはがんの新薬の治験。Tレグは私たちの体を守る免疫の仕組みに大きく関わっている。免疫細胞はウイルスや細菌といった異物が入ってくると戦って排除しようとする。しかし、時に免疫細胞が誤って自分の組織まで攻撃してしまうことも。そこで鍵になるのがTレグ。免疫細胞の機能をコントロールすることができる。
ノーベル化学賞の受賞が決まった京都大学 特別教授・北川進さん。“デザインしてつくる化学”。開発したのは多孔性金属錯体(MOF)。格子状の穴の部分に狙った物質を取り込むことができる。ターゲットの一つは地球温暖化に影響する二酸化炭素。カナダではセメント工場で工場から排出される二酸化炭素を回収する実証実験が行われている。アメリカの化学ベンチャー企業はMOFを使った有害物質を取り除くガスマスクを開発した。
Tレグの治療の可能性として「自己免疫疾患」「がん」「アレルギー」「慢性感染症」「臓器移植拒絶反応」などがあるという。MOFの活用の可能性として「PFASの除去」「CO2の回収」などがあるという。
坂口志文さんと北川進さんがノーベル賞につながる研究を発表したのは今から20年以上も前。当時と比べ、大学の研究環境が悪化していることに危機感を示した。NHKは研究者約6000人にアンケート調査を行った。改善が必要と考える分野について聞いたところ、最も多かったのが「研究に割ける時間」で69%、次いで「予算」が62%だった。科学雑誌「ネイチャー」は「日本の研究はもはや世界水準ではない。世界の研究への貢献度は下がり続けている」と指摘している。
大学の政策を考える国の委員などを務める横山広美さんをスタジオに迎えた。国からの支援は運営費交付金(人件費・設備費)と競争的資金(研究費)があるが、運営費交付金は約1600億円減額、競争的資金は約5000億円増額となっている。横山さんは「この20年ほどの大学の疲弊ぶりはものすごいもので、すでに限界を超えてしまっているのではないかと思っている。1年のうちに研究ができるのは、夏の1週間、春の1週間だけだというような先生方が全国に非常に多いような状況」などと話した。
国は研究力の向上を目指し、国際卓越研究大学制度という新たな試みを始めている。申請した10の大学から、去年、国際卓越研究大学に唯一認定されたのが東北大学。豊富な支援をもとに施設の拡充も決まった。大学は 5年間でスタッフ400人の採用を予定している。学生への授業や患者の診察もあり、去年までほとんど研究時間がなかったという研究者。今、研究時間が大幅に増え、専門分野の研究に取り組めているという。
横山さんは「ほとんどの大学がこうした支援を受けられないということは問題。ノーベル賞の傾向をみても、北海道大学であったり徳島大学であったり地方大学が活躍している。大学間の格差が広がるような支援はどこかで是正をしないといけないと思っている」などと話した。
全身の倦怠感などが続く自己免疫性肝炎と診断された男性。根本的な治療法はなく、毎日14錠の薬を服用。副作用にも悩まされている。男性は「新薬は患者にとって希望の光」と話した。坂口志文さんの研究はこうした病気の新たな治療法の開発につながると期待されている。
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- 自己免疫性肝炎
