富山・富山市のコメ農家ではこれまで収穫したコメのうち約8割は、契約する県内の飲食店などに販売してきたが、去年12月ごろから関東や関西の問屋や飲食店など県外の業者から注文の問い合わせが相次いでいるという。富山市の農家・喜多千晶さんは「単純に10〜20倍くらいは問い合わせがある状態」と語った。関東随一の米どころでも異変。茨城・稲敷市の農業法人では去年収穫されたコメはすでに売り切ってしまい、ことし秋に収穫されるコメもすでに全国から予約させてほしいと相談を受けているという。さらに一般の消費者向けのネット販売でも。茨城・稲敷市の農業法人・木内康博社長は「通常の家庭でほとんど食べきれないお米の注文が入ってきている。考えたくはないが転売することにもなっているのかな」と語った。品薄となった去年以降、新規の客が大量に買い求めるケースが相次いだほか、繰り返し大量買いをするケースもあったという。木内社長は「うまく流通できていないことがいちばんの原因かなと思う」と語った。過熱する買い付け競争、仕入れ現場では苦戦が続いていた。生協では各地のJAからコメを仕入れている。コメの調達の担当者の日本生活協同組合連合会農畜産部・高杉康彦部長は「自分たちが集荷できる数もかなり厳しいという声は聞いている。“JAにこれぐらいは出てくるだろう”と言う毎年の予想が、そのとおりにいっていない。違うルートにモノが流れてしまっている」と語った。在庫に不安があるため、この店舗では購入点数を1家族当たり1点に制限。備蓄米の活用で流通量が増えれば十分な量の仕入れにつながるのではと考えている。高杉部長は「積極的に調達したい。量が確保できて今年の秋にいかにつないでいくか」と語った。気になる価格の行方。21万トンの備蓄米の放出でどうなるのか。茨城大学・西川邦夫准教授は「21万トンは現時点で適切な量ではないか。備蓄米が流通業者のもとにわたると流通業者は現物が手に入り安心感が広がる。そういった面からも価格は下落する方向に行くのではないか」と解説した。そのうえで中長期的には「市場の中で調整が働くと思う。需給状況に応じ、かなり変動していくのではないか」と述べた。備蓄米の放出を巡っては農林水産省の対応の遅さを指摘する声も上がっていて大臣は「大いに反省はある」とも述べている。国民に安定的に食料を届けるのは国の責務でもある。2回目以降の放出量はコメの流通状況の調査を踏まえ決めるとしているが、コメの流通と価格の安定のため機動的な対応が求められる。
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URL: http://jccu.coop/
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