歴史的な円安局面が長引く中、日米間の金利差に加え貿易などの需給要因に伴う円売りの影響も見逃せない。日本企業は海外収益を現地での投資に再活用する場合も多く、円を買う動きにつながらない。4月末にかけてヘッジファンドなどによる円売りドル買いで、一時1ドル160円台に急落したが、需給面でも円安の抑制要因が働かなかった可能性がある。特に米国の巨大IT企業が日本国内のデジタル関連サービスで得た円を売って本国に送る動きを移すその他サービス収支は6兆円余りの赤字で、旅行収支の黒字に伴う円買いを上回る円売りが生じている。三菱UFJモルガンスタンレー証券・植野大作さんは「フローの面から見ると金利差と関係なくずっと円を売ってドルを含めた外貨を買うような動きが定着してしまっている、これが歴史的な円安の一つの背景になっていると思う」、東海東京証券・佐野一彦さんは「経常黒字がたまっているということは将来の円高ドル安のポテンシャルになっているっていうことは気をつけるべき」などとコメント。(日経電子版)