日本製鉄によるUSスチールの完全子会社化について、ピクテ・ジャパンの市川眞一シニア・フェローが解説。アメリカの鉄の需要は世界で見るとそれほど大きな市場ではないが、自動車用の鉄などの高付加価値品については非常に有望な市場。USスチールはアメリカ市場に基盤を置いているが、技術力と資本力に欠けている面があった。日本製鉄には技術力と資金力があるが日本の市場は縮小均衡に向かっているため、両者のパートナーシップにはシナジーが大きい。黄金株については政治状況によっては何らかのリスクになる可能性はあるが、合理的な統合であるならばリスクを犯しても前に進む必要があったのではないか。世界一への復権については第一歩を踏み出したことには間違いなく、難しい交渉を乗り越えた日本製鉄の粘り腰に期待したい。