大手銀行のディーリングルームには緊張感が走った。1ドル=158円台まで円安が進んだ円相場。政府日銀による為替介入があった4月末以来、約1ヶ月半ぶりの円安水準。相場を大きく動かしたのは、具体策を先送りした日銀の判断だった。異次元の金融緩和の柱の1つとして続けてきた長期国債の買い入れを、減額していく方針を決めた。買い入れ額は次回の会合までは、これまでの月間6兆円程度を維持し、次回計画を決定するとした。市場では、今回の会合で円安を食い止めるための具体策を打ち出すとの見方が強かっただけに、肩透かしと受け止められ、円を売る動きが強まった。なぜ先送りにしたのか。市場の不安定な動きを避けるために次回に持ち越したと説明した。家計を圧迫する円安物価高が、なお続くことになる。