日銀は去年、2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になったとしてそれまでの金融政策を転換し、3月にマイナス金利政策を解除、7月には追加の利上げに踏み切り、政策金利を0.25%程度にまで引き上げた。今年の日銀は、経済と物価の状況をみながらさらなる利上げを検討する方針。植田総裁は、先月の会見で「次の利上げの判断に至るまでにはもうワンノッチほしい」と述べ、今年の春闘に向けた賃上げ関連の動きや、今月就任する米国のトランプ次期大統領の政策の影響を見極めながら、タイミングを探る考えを示した。ただ、日銀の意図やねらいが金融市場に十分伝わらなければ市場の動きが不安定になり、仮に円安が急速に進んだ場合は急遽対応を迫られる可能性もある。政策金利を0.5%程度に引き上げれば約17年ぶり、さらに0.75%程度になると約30年ぶりの高い水準で、この先の利上げは預金や住宅ローンなど暮らしへの影響がひときわ大きくなる。それだけに日銀は金融市場の急変を招くことなく、適切な時期に利上げを判断できるかが最大の焦点となる。