今、東京大学からはスタートアップが次々と生まれていて、その数は、この10年間で350社に上る。スタートアップは文京区にある東大の本郷キャンパスの周りに集まっていて、これをアメリカのシリコンバレーにちなんで「本郷バレー」とも呼ばれ始めている。今、何が起きているのかを取材した。東京大学のすぐそばにあるスタートアップは、創業4年で200人を超える規模に成長している。社長を含め、その半分近くが東京大学出身の20代。手がけているのは、AIを使ったアプリの開発。部屋を撮影すると、瞬時に図面や3D画像に変換されるアプリを紹介。大手ゼネコンと共同でプロジェクトを進めるなど、顧客は500社にまで増えている。こうした起業の動きをけん引してきたのが、AI研究の国内第一人者として知られる東京大学の松尾豊教授。AIの技術を学び、起業に結び付ける講座を20以上展開。東大生以外も受けられるものもあって、受講者は年間延べ2万人に上る。松尾教授のもとから生まれたスタートアップは、すでに30社近く。
実際に起業した一人、大学院生の千葉駿介さんは3年前、20歳のときに同級生5人と会社を立ち上げた。今、課題に感じているのは「どう会社を大きくするか」。この日、相談に訪れたのは、松尾教授のもとから起業した先輩の上野山勝也さん。去年から東京証券取引所の最上位のプライム市場に上場している。経営の経験が浅い若い起業家たちにとっては、先輩の体験談が貴重な道しるべになっている。松尾教授は、これまで大企業などに人材を輩出することが多かった東京大学で、起業という選択肢を根付かせたいという。「スタートアップというのは、基本的に資本主義の中で主人公だと思っていて、仲間を集めて事業を作り、それを大きくして社会を良くしていく、そういう選択肢があるというのはちゃんと提示したい」と述べた。ただ、松尾教授は、本郷バレーからはまだ社会にインパクトを与えるほどの成果は出ていないと考えている。2年後には年間160社のスタートアップを生み出すなど、取り組みを加速させたいと話していた。
実際に起業した一人、大学院生の千葉駿介さんは3年前、20歳のときに同級生5人と会社を立ち上げた。今、課題に感じているのは「どう会社を大きくするか」。この日、相談に訪れたのは、松尾教授のもとから起業した先輩の上野山勝也さん。去年から東京証券取引所の最上位のプライム市場に上場している。経営の経験が浅い若い起業家たちにとっては、先輩の体験談が貴重な道しるべになっている。松尾教授は、これまで大企業などに人材を輩出することが多かった東京大学で、起業という選択肢を根付かせたいという。「スタートアップというのは、基本的に資本主義の中で主人公だと思っていて、仲間を集めて事業を作り、それを大きくして社会を良くしていく、そういう選択肢があるというのはちゃんと提示したい」と述べた。ただ、松尾教授は、本郷バレーからはまだ社会にインパクトを与えるほどの成果は出ていないと考えている。2年後には年間160社のスタートアップを生み出すなど、取り組みを加速させたいと話していた。