株価の回復継続のカギを握る企業の業績について。SMBC日興証券は、今月15日までに発表を終えた上場企業1419社のことし4月から6月までの決算を分析した。それによると、57%にあたる814社で最終利益が前の年の同じ時期と比べて増益となり、このうち化学や電気機器などの業種は、円安を追い風に利益を増やした。今年度1年間の最終的な利益の見通しも上方修正した企業が製造業を中心に109社となり、下方修正した17社を大きく上回った。企業の業績は好調が続いているが、気になるのが今月に入り急速に進んだ円安の修正。影響を受ける企業の経営者から、発言が相次いだ。ホンダ・藤村英司最高財務責任者は「1か月で20円も(円が)買われる為替だと非常に難しい部分は当然出る。大事なことは変化に強い事業構造をいかに日頃から高めておくか」。株価の乱高下についても発言があった。キリンホールディングス・南方健志社長は「誰もが不安に思う状況だと思いますが、変動は起こりうる前提に事業を経営していく、環境変化に強い事業構造を持っておく必要がある」と述べた。この先の企業業績について、SMBC日興証券・安田光チーフ株式ストラテジストは「上場企業は通期(2024年度)では過去最高益を更新する可能性が高い。ただ今後、円高が進むと、下方修正のリスクが出てくる」としているが、個人消費にはプラスになると指摘している。「(円高は)輸入物価の低下を通してインフレを抑えるようなインパクトをもたらす。これまで個人消費が軟調だったのも実質賃金がプラス化してこないことがあった。むしろ内需の個人消費関連がよくなるのでは」と述べた。個人消費については4月から6月のGDPで5期ぶりにプラスになり、実質賃金も27か月ぶりにプラスに転じるなど明るい兆しもある。企業業績が上向き、賃金も上がるという好循環につながるか期待。
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