台湾ではヒアリが定着していて、橋本先生らは台湾で実験を行うことに。今回のプロジェクトは国立環境研究所が主導する。実験ではヒアリが入った2つのコンテナを密閉してわさびの辛味成分が入ったシートの有り無しでヒアリの生存率を比較するというもの。シートが入ったコンテナではヒアリは全滅していた。わさびの辛み成分の正体は、AITC(アリルイソチオシアネート)と呼ばれる物質。痛みや刺激を与える効果があって、ヒアリは口や触覚でそれを感じとり、さけようとするが、濃度によっては死に至る。博物館の標本を害虫やカビから守るために開発されたわさびの辛み成分が含まれた防虫シート。これをヒアリ対策に使えないかと思いついたという。わさびのシートを製造している大阪の工場を訪れた。シートの原料は辛味成分が含まれた樹脂製のペレット。開発の井伊さんによると蒸発しやすい辛味成分を小さな粒子にしてペレットに練り込んだのだという。国立環境研究所・坂本洋典主任研究員は「わさびの辛み成分は、どこの国や地域でも使いやすいのでは。今後はより安く効率的に使用出来る方法を考えていくことが必要」という。