海上保安庁の精鋭・特殊救難隊の一員となるために過酷訓練に挑む新人たちに密着した。27歳の伊藤健太さんが目指すのは特殊救難隊、潜水士・海猿から選ばれたわずか41人の精鋭部隊。特救隊は全国の海難事故で捜索・救助にあたるほか、災害現場での救助など任務は多岐にわたる。特救隊になるには半年間の訓練を経て検定に合格する必要があり、今年は伊藤さんを含む6人が挑んだ。この日行われたのは障害突破訓練。2人1組で転覆船内に見立てた障害物を突破し救助する。一つのミスが生死をわける可能性があるため先輩隊員からは厳しい声がかかる。伊藤さんが特救隊を志した理由は小学6年生のときに経験した東日本大震災、何もできない自分が悔しかったという。伊藤さんの支えとなっているのは一緒に暮らす恋人・夏未さんの存在。特救隊になるために乗り越えなければならない壁、障害ドルフィンという訓練がある。約30キロの装備で25mを往復、約1mの壁を登り、合計7往復する、制限時間は30分。伊藤さんは2時間が経過しても登りきることができなかった。実際の海でも訓練は行われる。半年間の訓練を経た6人の検定の日。伊藤さんは苦戦した障害ドルフィンに挑む。伊藤さんは26分でゴールしてクリアした。翌日も検定が続く。最後の関門は100キロ行軍。山梨県都留市を出発し、24時間以内に羽田空港にある基地までの100キロを走る。水は現地調達、食事はなし。伊藤さんはスタートから19時間40分でゴールした。6人全員が合格となった。