国鉄バス名金線は、名古屋と金沢の間を走る長距離バス。名金線の車掌だった佐藤良二さんは、名金線に沿って桜を植えていてた。良二さんは、名古屋から金沢間のおよそ270キロに30万本もの桜の木を植えることが夢で、春の名金線は、良二さんの夢の後を辿る桜街道でもあった。荘川桜と呼ばれる樹齢400年の桜との出会いが、良二さんの生きる道を決めたという。村人の心の絆であった2本の大きな桜は移し替えられることになり、樹齢400年の桜の木の移し替えは前代未聞のことだったが、翌年の春に花を咲かせ、良二さんは自然の見事さに激しく胸をうたれ、荘川桜の実を毎年拾い、根気よく巻き続けて7年目に芽を出した。良二さんは苗を育てながら、太平洋と日本海を桜で結ぶことを夢見て、名金線沿いに桜を植え始めた。良二さんの幼なじみの佐藤高三さんは、良二さんとよく同じバスに乗っていたという。高三さんは、良二さんのひたむきな情熱にうたれ、一緒に桜を植え始めた。良二さんの夢は能登半島にまで伸びていて、輪島に住む教師の平松さんは桜を植える良二さんの心に感動し、桜並木を輪島まで伸ばそうと誓いあった。良二さんは桜を植える活動をしながら、日記も書き残していたそうで、現在も桜並木は残っている。