日銀の植田総裁はきのうの講演で、円安の影響によって金利の引き上げをより早めに行うこともありうるという考えを示した。植田総裁は「仮に物価見通しが上振れしたり、上振れリスクが大きくなったりした場合には、金利をより早めに調整していくことが適当になる」と話している。日銀は、先月発表したレポートで今後の物価の見通しについて、今年度が前の年度と比べてプラス2.8%、2025年度はプラス1.9%、26年度もプラス1.9%としているが、この物価上昇の過程について、これまでの円安や原油高で海外から輸入される原材料やエネルギーなどのコストの上昇につながり、それが物価を押し上げる。これを「第1の力」と言っているが、この力がやがて弱まり、その代わりに物価の上昇が賃金の上昇を通じて、さらなる物価の上昇につながっていく好循環が起きていく、これを「第2の力」と言っている。「第2の力」が強まり、物価が持続的に安定的に目標の2%になっていくという道筋を描いていた。ところが今の急激な円安の影響で、弱まると思っていた「第1の力」が弱まらない。そうなると想定以上に物価が上がる、上振れする可能性が出てきた。神子田さんは「日銀が金利をいつ、どの程度引き上げるかは円相場の行方に関わってくるため、今後の大きな焦点となる」などと述べた。