きょう政府は日本の自動車産業の生き残りに向けた、新たな戦略の案を取りまとめ公表した。それがSDV(ソフトウエアデファインドビークル)。直訳すると「ソフトウエアによって定義される車」。2030年に日本メーカーの世界シェアを3割まで高めるとした。SDVはソフトウエアを外部の通信で書き換えることで、車の走行性能や安全機能などを更新できる。次世代の車を巡って今国内外のメーカーが開発にしのぎを削っている。東京都内で実証実験が行われているSDVのバス。バスに搭載された14台のセンサーと16台のカメラで周囲の車両などを検知し、ソフトウエアで制御することで自動運転を行っている。ソフトウエアを開発しているスタートアップによると実際に走行して集めたデータを、AI(人工知能)を使って学習させソフトウエアを更新。自動運転の安全性など、車両の機能向上を目指している。インターネットを通じてそれぞれの車に搭載されたソフトウエアを継続的にアップデートしている。自動運転ソフトウエアを開発・加藤真平CEOは「車を買ってからの方が機能が良くなる」と語った。SDVを実用化し、この分野で世界をリードするのがアメリカの自動車メーカー。ソフトウエアを更新することで人や車を認識する精度も向上。さらに車内で楽しく過ごせる機能なども追加できる。担当者は「1か月~2か月おきくらいに新しいソフトウエアが自動的に届く。日々車両自体の性能が上がっていく」と語った。きょう政府の会議で公表された新たな戦略の案では、SDVの開発にオールジャパンで取り組む必要性を指摘。その上で、自動車向けの高性能な半導体の研究開発やソフトウエアの標準化などの分野で日本のメーカーどうしの連携を促していくほか、自動運転のトラックやタクシーの開発も支援していくとしている。また2030年に日本メーカーのSDVの世界シェアを3割まで高める目標を掲げている。こうした目標を掲げた背景について、東海東京インテリジェンスラボ・杉浦誠司シニアアナリストは「海外メーカー特にテスラや中国メーカーのSDVの開発は、想像以上に速いスピードで進化。SDVが急速に経営課題として台頭してきた」と述べた上で、日本政府に求められる姿勢については「SDVの分野は異業種が車に集まって次世代の車の価値を作り上げるというプロセス。新しい分野、ビジネスが生まれてくるので、障がいとなる規制は緩和し、産業を育てていくスタンスが求められる」と語った。