東京都内ではスギ花粉が今月8日から飛び始め40年前の統計開始以来、最も早くなっている。大手電機メーカーの調査では花粉症の症状により労働力が低下し、その経済的な損失額が1日あたり2000億円を超えると推計されている。そうした中、企業の間では花粉症の影響をできるだけ抑えようと様々な取り組みが行われている。都内にあるコンサルティング会社では福利厚生の一環として花粉症の症状がある社員を対象にティッシュやマスクなどおよそ10種類のグッズを配布している。さらに花粉症の医療費の全額を補助。回数の制限はない。取り組みの導入は7年前。およそ70人いる社員のうち4割ほどが利用している。一方、あるIT企業では、さらに踏み込んだ取り組みが行われていた。近年ある制度を導入したところ花粉症の症状がある社員のおよそ6割が利用しているという。花粉が少ないとされる地域でリモートワークができる制度、その名も「トロピカルエスケープ」。2月上旬から4月上旬の花粉が多い時期を対象に宿泊費の一部や現地で働く拠点となる場所の利用料、育児中の社員には託児所の費用など1か月で最大15万円を補助している。ちなみに移動費は自己負担。この会社では花粉症対策が業績アップにもつながっている。IT企業・田中和希代表取締役は「花粉症から逃れて、いつもどおり仕事ができるのに加えて合宿みたいな一面もあって集中して朝から働ける。その期間で大きな施策が出たり大きなアウトプットが出たりというのは実感している」と述べた。花粉症シーズンを乗り切るさまざまな取り組み。企業や個人の健康対策に詳しい専門家のニッセイ基礎研究所・村松容子主任研究員は「生産性を下げないことが、これまで以上に求められている世の中でもあると思う。理由がわかっている原因がわかっているようなものとか、シーズン限定のものとかに対してなるべく支援をする事で気持ちよく働ける環境を提供するほうがメリットはあると思う」と述べた。