この春、神奈川県真鶴町にオープンした助産院。県西部に位置する真鶴町は相模湾に突き出した小さな半島の町で産科の病院などお産ができる施設が長らくあり得なかった。その町の母親たちの声を受け開業までこぎつけたベテラン助産師の挑戦を取材した。助産師の岩田美也子さんは「やっとやっとやっと実現してほっとしている」と話す。開業するにあたり資金繰りがネックに。湯河原町の古民家を活用する予定だったが改修費用に1億円かかることが判明し断念。次に真鶴町の空き地に建物を新築することを計画。8500万円の費用は県の補助金に加え、岩田さんは住まいだったマンションを売り資金のめどをつけた。そして最も重要だったのは医療機関との連携。助産師は帝王切開などができないため万一に備え小田原市立病院と協力関係を結んだ。岩田さんは「なんでも悩みを話せて産後ケアや育児のアドバイスも受けられる萬相談所のような場所にしたい」という。