取材に当たっている周記者に話を聞く。ようやく施設に入れても遠いと家族の負担というのはとても大きい。自分で望んで遠くの充実した施設を利用したいという人もいると思うし、そういった選択はもちろんあってもいいと思う。ただ、今回取材した多くの方は近くに入れる場所を見つけられずに離れ離れになっており、「どうしても寂しい」と話していた。国は障害のある人それぞれが望む地域でその一員として暮らすという方針を掲げており、大規模な入所施設からこちらの地域のグループホームなどへの移行を進めているが、今回NHKが行った調査では地域を離れている理由について入所施設については空きがない。そしてグループホームについては障害の特性と合わない、つまりそれぞれの障害に適切に対応できる体制が取れていないためと半数以上の自治体が答えた。特にこのグループホームについて近年、数自体は増えてはきているが、経験の浅い営利法人の参入も相次いでおり、重度の障害のある方の受け皿はまだ十分に増えていないと考えられる。今の話の中にあった本人が望む地域で暮らすという国の方針と現実との間にギャップがあるが、これを埋めるためにできることってどういうことがあるのだろうか。当然予算は限られている中なのだが、遠く離れた親子がなかなか会えない、こういった状況は少なくとも改善していく必要があると思っている。専門家、佛教大学・田中智子教授も「短期的には面会のための旅費を補助するなどの支援が必要ではないか」と話している。そして抜本的に改善していくためにはまずはどんな障害のある方、そしてその家族がどんな住まいを求めているのかということをしっかり把握したうえでそうしたニーズに対応できる地域の受け皿を増やしていくこと、そして人材の育成をサポートしていく、こういった施策が今後さらに求められていくと思う。あすは施設の短期利用で暮らしをつないでいる実態について伝える。