太平洋戦争末期特攻隊の基地があった鹿児島県知覧で隊員たちが飛び立っていくのを見届けたのが「なでしこ隊」と呼ばれる女学生たちだった。隊員たちの無念の思いを胸に生きてきた元女学生に話を聞いた。今も知覧に暮らす桑代チノさん(95歳)。桜の季節になると見送った隊員たちの姿が目に浮かぶという。79年前の春、この地から多くの若者たちが出撃439人が帰らぬ人となった。桑代さんは当時15歳、知覧高等女学校の3年生だった。校章にちなんで「なでしこ隊」と呼ばれた桑代さんら女学生は勤労奉仕として食事や洗濯など特攻隊員の身の回りの世話に当たった。当時隊員たちが出撃の日まで寝泊まりしていた三角兵舎。強く印象に残っているのが軍による厳しい統制の中で家族への手紙を自分たちに託そうとする姿だった。あれから79年。およそ100人いたなでしこ隊の元女学生は今では数人だけとなった。戦争の不条理そして平和の尊さを当時を知らない世代にも考えてほしいと強く願っている。知覧特攻平和会館では企画展「女学生が見た戦争−知覧高女生と特攻隊員−」が開かれている。
住所: 鹿児島県南九州市知覧町郡17881