日本時間のあす、トランプ氏が米国大統領に就任する。就任式の演説はあす未明に始まる見通しだが、前回は就任初日にTPPからの脱退を発表した。2期目の初日の注目ポイントを経済の専門家に聞いた。米国経済が専門の第一生命経済研究所・前田和馬主任エコノミストが注目するのが「関税政策のスケジュール」。トランプ氏はメキシコとカナダのすべての製品に25%の関税、中国には現在の関税に加えて10%の追加関税を課すとしている。前田さんは「おそらく一定の期間をかけて関税を課すと思うが、初日の可能性もゼロではない」とし、「日本を含むすべての国への一律関税にも警戒が必要だ」という。前田さんは「一律関税は金融市場はほとんど織り込んでいない、もし表明したら市場は混乱して株価は大きく下落するだろう」と話していた。エコノミストのみずほ証券・小林俊介チーフエコノミストが注目するのが「DOGE=政府効率化省」。DOGEとは政府支出の削減策を検討する米国の新たな組織で、トップの1人を実業家のイーロンマスク氏が務める。小林さんは「減税策とセットで歳出削減策が打ち出される可能性は高い」としている。そして「政府職員の解雇、社会保障を減らすといった歳出削減は米国の景気にはマイナスだ」と指摘している。そうなると、米国でビジネスをしている日本の企業にも影響が及ぶことになる。為替が専門のソニーフィナンシャルグループ・尾河眞樹チーフアナリストの注目ポイントは「景気にプラス?マイナス?どちらが勝るか」。尾河さんは、景気にプラスの政策は「減税」と「規制緩和」、マイナスの政策は「関税」と「不法移民の強制送還」だという。就任演説でプラスの印象が強くなれば、株高ドル高になり為替は円安が進みやすくなる。一方で、マイナスの印象が勝れば株安ドル安で、円相場は円高になる可能性がある。ただ、尾河さんは「トランプ氏の発言に整合性が取れていないため、予想するのは本当に難しい」とも話している。