チベットでは今、急速に観光地化が進んでいる。チベット仏教の僧院「ラルンガル・ゴンパ」をはじめとする美しい景観を求め中国人観光客が殺到。ここ数年で飲食店やホテルなど街は観光地としての整備化が進んだという。しかし、外国人の立ち入りは許可されていない。宗教活動を徹底的に管理しながら観光地化し多様な中国を見せるためのショーウインドウにする、一方で外国人を立ち入らせないことで宗教や政治に絡む批判を覆い隠そうという中国政府の意図が透けて見える。中国政府はことあるごとにチベット自治区などの経済発展やインフラ整備貧困対策に力を入れているとアピール。2019年には脱貧困を達成したと宣言した。2021年はチベット解放から70年の節目だったこともあり、チベット自治区のラサに海外メディアをわざわざ招待してその発展ぶりや共産党統治の正当性をアピールした。しかし、今年2月、ラルンガル・ゴンパがある四川省カンゼ・チベット族自治州で水力発電ダムの建設により、6つのチベット仏教寺院と2つの村の住民約2000人が移転や破壊の対象になることに抗議し建設中止を求めるデモ動画が流出。大規模な経済支援と引き換えに宗教の中国化とチベット族の漢族化は確実に進められている。