第一生命経済研究・藤代宏一さんの日経平均予想レンジは38500円~39100円。藤代さんは「米国の消費者物価指数高止まりだったが利下げ開始時期の予想を遅らせることにはいたらず、米国株は上昇。為替市場も円安方向に戻り、日本株には追い風が吹く」などと述べた。注目ポイントは「日経平均4万円超えに必要な実体経済の回復」。藤代さんは「ドル円と日米相対株価。円安によって日本株が押し上げられてきた。このような関係になるのは日経平均採用銘柄の6割が製造業で大半は円安で業績が拡大するから。株価の絶対水準は為替だけでは決まらない。特に注目したいのは株主還元。企業がPBR1倍回復を念頭に5月の本決算発表時に大規模な自社株買いを発表した。5月に3兆円を超える発表があり、その後も高水準で発表があり、現時点で10兆円ペースで推移。現時点の企業業績から判断すると今年も相当な数の自社株買いが期待できそう。5月に向けて期待が高まっていく。個人消費の弱さを背景にGDP成長率は0近辺。お世辞にも内需が好調とは言えない。内需の先行きについて鍵を握るのは労働分配率。この指標は利益、付加価値をどれだけ従業員に還元したかを示す指標。賃上げ機運の高まりで上昇しているかと思いきや大幅に低下している。企業がまだ本格的な賃上げに踏み切っていない。物価上昇率の鈍化により2025年以降の賃金上昇率が鈍化する懸念もあるが賃上げ余力が豊富にあると思う。賃上げの期待が根付いてくると個人消費が増加して賃金と物価の好循環につながり、投資家の安心感につながる」などと述べた。