介護サービスの費用を賄う介護保険料は40歳から64歳までの人たちが支払うものと65歳以上の人たちが支払う2種類があり、今回は65歳以上が支払う介護保険料の3年に1度の改定が行われた。改定のたびに上がり続けているが先月改定された保険料の全国平均は月額6225円となり、前回と比べ211円上がっている。介護保険制度が始まった2000年からと見ると2倍以上、上がっている。65歳以上の高齢者が支払う介護保険料は市区町村などが国の示す基準を参考にして、それぞれの地域で見込まれる介護費用から算出する。中でも東京23区で最も高いのは荒川区の月6920円となっていて、全国平均6200円余りからはおよそ700円高くなっている。今回の改定で440円、率にして6.8%上がった荒川区は増額を決めた理由について区によると「75歳以上の後期高齢者が増えていて今後、介護を必要とする人が増えると見込まれるためだ」ということだ。荒川区介護保険課の成瀬慶亮課長は「増額になったが介護を必要とする人が安心してサービスを受けることができるよう努めていきたい」とコメントしている。介護保険料は急速な高齢化が進む中で2040年度には月額およそ9000円程度になると推計されている。こうした中で介護保険料を抑える取り組みを行っているところもある。埼玉県の鳩山町は月額4300円と全国の中でも4番目に低い水準となっている。およそ2人に1人が高齢者と高い高齢化率なのだが保険料を抑える町を挙げた取り組みを取材した。鳩山町では65歳以上の高齢者が誰でも参加できるよう町が体力や認知機能に合わせた3段階のレベルの体操教室を各地で開催している。鳩山町の人口1万2739人のうち、65歳以上は6037人とおよそ2人に1人が高齢者。高齢者の多くは1970年代後半にできたニュータウンに移り住んだ当時30代、40代の人たち。町は移住者が将来、同じタイミングで高齢者になることを見据え、15年以上前から健康づくりに取り組み介護予防につなげてきた。取り組みの結果、町の要介護認定率は去年12月末時点で12.6%、全国平均を6.8ポイント下回っている。介護保険料の額に地域差が出ていることについて淑徳大学の結城康博教授は「市民と自治体がどういう介護のあり方を考えているかに応じで差が出る」と述べ、自分が住む地域の介護保険の金額とサービスの実態が合っているか、保険料を負担している市民が意識していく必要があるとしている。