パリ五輪で過去最多5個のメダルを獲得したフェンシング。飛躍を遂げた要因の一つが地域との連携。スポーツを生かした街づくりを目指す地方自治体と協議団体が一体となって地道な取り組みを進めてきた。2年連続で静岡・沼津で全日本選手権が行われ、大会中に開かれたトークイベントには男子フルーレ団体金・永野雄大、女子サーブル団体銅・江村美咲、女子フルーレ団体銅・菊池小巻らが登場、多くの観客が訪れた。沼津市では5年前、東京五輪の事前合宿地の誘致をきっかけに日本フェンシング協会と協定を結んだ。当時、日本フェンシング協会の会長で五輪銀メダリストの太田雄貴は「全部を東京一極集中でやることの難しさと、財政的に実態としての難しさがあった。自治体と一緒に行うことで少しでも中央が果たすべき役割を分散できないかと考えた」と話す。“フェンシングのまち”を掲げ、市や企業が出資して3年前には商業施設の中に練習拠点が完成した。国内トップクラスの設備を備え、日本代表の合宿誘致のほか市内の子どもたちを中心とした練習会を毎週開催している。五輪2大会に出場した長良将司を市の職員として迎え、国内トップレベルの選手も地元から生まれている。さらに新たに疑似体験ができる“スマートフェンシング”の導入も進んでいる。柔らかい剣とジャケットを使い安全に疑似体験ができる。東京五輪・男子エペ団体金メダリスト・宇山賢が指導を担っている。