衆院選激戦区・和歌山2区では、参議院からのくら替えをした安倍派の元幹部と、大物の世襲候補が激しい保守分裂選挙を展開している。自民党・参院幹事長など要職を歴任し、安倍派の幹部も務めた世耕氏。しかし今年4月、派閥の裏金問題で離党に追い込まれた。総理への意欲を示し、長らく衆議院へのくら替えを狙ってきたが、立ちはだかってきたのが、連続当選13回、40年以上この地域に君臨してきた二階元幹事長。二階氏もまた自らが率いた派閥の裏金問題の責任を取って引退。後継者として自民党の公認候補となったのは、三男の伸康氏だった。二階氏が引退し、千載一遇のチャンスとしてくら替え選挙に打って出た世耕氏に対して、ある党幹部は「反党行為以外のなにものでもない」と話す。そんな世耕氏が頼るのは、政治の師とあおぐ安倍元総理だった。靴を託した安倍昭恵夫人も応援に駆けつけた。安倍氏の後継者をアピールする世耕氏。一方、二階伸康氏は白いスニーカーで地元を駆け回る。裏金問題は思いがけず、世耕氏のくら替えと、世代交代を同時に進める結果に。こうした中、3人の野党候補は自民王国の切り崩しを図る。立憲民主党の新古祐子氏は、地域活性化と防災・減災を掲げ、女性活躍を訴える。共産党の楠本文郎氏は、減税や農水産業などの一次産業の支援を訴える一方で、この地域での長きにわたる自民党支配を批判する。また諸派からは高橋秀彰氏も立候補している。自民王国で繰り広げられる大接戦。勝利を収めるのは誰なのか。