労働組合の組織率は世界的に低下し、アメリカは10.1%と日本の数値よりも低い。経営側による組合潰しが横行し、労使関係が敵対的なことも珍しくないなか、実はアメリカでは労働組合が勢いを盛り返している。著しい物価上昇、所得格差への怒り、技術革新に対する雇用不安、労働条件の悪化リスクが背景にあるという。アメリカ財務省がまとめたレポートでは中間層の所得を増やし、幸福度を高める方策として労働組合が有力であることを最新の実証分析にもとづいて明らかにしている。労働組合には賃上げ効果を期待でき、福利厚生や失業保険を受給できる確率を高める。また、組合に加入している労働者、その家族は選挙に行く割合も高いとされる。バイデン政権は労働組合を強化、拡大しようとしていて、啓発活動、法律の制定を目指している。中村天江氏は労働組合はコミュニティーの発展に寄与する存在で、孤独、孤立問題の解消にも繋がると指摘。ただ、日本において関連する法律は戦後に整備された後、大きな見直しは行われてこなかった。中村氏は「労働組合が時代の要請に応じて進化するとともに、社会的に環境を整備していくことが肝要」などと総括した。