石川県・輪島市で唯一しょうゆを製造する「谷川醸造」の社長、谷川貴昭さん。地震により広さ約600平方メートルある「しょうゆ蔵」が全壊した。築100年以上のしょうゆ蔵。2007年に起きた地震ではもちこたえたが、今回の地震では完全に倒壊してしまった。谷川醸造は1918年から輪島市でしょうゆを作り始めた。昔ながらの木桶を使い、大正時代から受け継がれてきた味を守り続けてきた。この蔵で作られる甘口の「サクラしょうゆ」は輪島市の市民であれば誰もが知る味だ。今は壁が崩れむき出しになった木桶。再建の目処が立たず、途方にくれていた谷川さんのもとには「あの味を忘れたくない」という被災した人たちからの声が届いた。しょうゆ蔵の再建はまだまだ先になる。それまでは石川県内の同業者の設備を借りてしょうゆ作りを続けるつもりだ。輪島の味をたやさないために。谷川さんは「いろんな方から励ましの声をいただいて、そういうことを言われて辞めたいというのは簡単には言えないっていう思いもある。この土地で仕事ができるなら頑張ろうかなと思えるのかも知れない。」と話した。