先月カンヌ映画祭で上映され、喝采を浴びた「遠い山なみの光」。原作者はノーベル文学賞作家のカズオ・イシグロさん。発表から40年あまり時を経て、映画化された。故郷・長崎で原爆を経験し、戦後の長崎とイギリスを生きた女性の物語。自身も長崎で生まれたイシグロさん、今回脚本に助言をするなど映画の制作にも関わった。戦後80年の今年、今の時代にこそ過去の記憶を語り直したいと語るイシグロさんの思いを聞いた。カンヌで取材に応じたイシグロさん。戦後80年のタイミングで原作が映画化されたことに価値があると考えている。「遠い山なみの光」は、長崎で原爆を経験し、その後イギリスに渡った主人公の悦子が閉ざしてきた長崎の記憶を振り返り、これまでの人生の苦悩や希望を語り明かす物語。1954年に生まれたイシグロさん、5歳でイギリスに移住するまで長崎で過ごした。この作品を書いた原点には、原爆投下の際に長崎にいた母の存在がある。これまで、世界的なベストセラーを執筆してきたイシグロさん。物語に通底するテーマは「記憶と忘却」。作品では辛い過去の記憶を抱えながら生きた主人公悦子の姿が描かれている。
広瀬すずさんは、当時の悦子の感情を想像しながら演じたと振り返った。戦争の記憶を今の時代に”語り直したい”というイシグロさん。今回、原作にはなかったシーンが加えられた。描かれたのは、戦争がもたらした体や心への傷。イシグロさんは若い世代に伝えるために必要な描写だったという。戦後80年の今、戦争の記憶が薄れる中、時代は危険な局面にあるとイシグロさんは憂慮している。そんな今だからこそ、イシグロさんは時代に応じた伝え方を探していかなければならないと考えている。
広瀬すずさんは、当時の悦子の感情を想像しながら演じたと振り返った。戦争の記憶を今の時代に”語り直したい”というイシグロさん。今回、原作にはなかったシーンが加えられた。描かれたのは、戦争がもたらした体や心への傷。イシグロさんは若い世代に伝えるために必要な描写だったという。戦後80年の今、戦争の記憶が薄れる中、時代は危険な局面にあるとイシグロさんは憂慮している。そんな今だからこそ、イシグロさんは時代に応じた伝え方を探していかなければならないと考えている。