先月出版された写真集。重い障害を持つ子どもを育てる母親が撮影した。撮影したのは都内に住む山本美里さん。次男・瑞樹さん(15)は傷害があり、たんの吸引などが必要で24時間の見守りが必要。夫は出張も多く、山本さんはほぼ1人で子育てを担ってきた。山本さんは特別支援学校で瑞樹さんの急な体調変化に備えて常に付き添いを頼まれた。1日6時間、部屋で待機していた。そこでは「ここは子どもの場所なのでなるべく気配を消してください」と言われたという。山本さんはまるで透明人間だと感じたという。“母親だから人生を諦めなければいけないのか”という悩みを打ち明けられず適応障害と診断された。山本さんの心の支えとなったのは趣味にしていた写真。SNSに投稿すると“受け入れてもらえた”と感じ楽になったという。写真を学ぼうと通信制大学に通い、その卒業制作で自分を被写体に写真を撮ると、その写真が出版社の目に止まり先月発売された。先月、出版後初めて写真展が開かれた。山本さんは写真を通して人とつながり、自分を取り戻し始めた。山本さんは「声をかけてもらってやっと“透明人間”だった自分から少しずつ脱出できている」などと語った。