会社員などが亡くなった際に配偶者らに支給される遺族厚生年金について厚生労働省は共働き世帯が増えたことなどから受け取る要件の男女差をなくし、現役世代で子どもがいない人の受給期間は性別にかかわらず5年間とする方向で検討に入った。遺族厚生年金は厚生年金に加入している会社員などが亡くなった場合に配偶者らに年金が支給される制度だが、子どもがいない夫婦の場合、受け取る要件に男女差があり、女性は夫が亡くなったときに30歳未満だった人は5年間、30歳以上だった人は生涯にわたって受け取れる一方、男性は妻が亡くなったときに55歳未満だった人は受け取れない。厚生労働省は「今の制度は夫が働いて妻を扶養するという世帯が多かったことを背景に作られたもので、共働き世帯が中心となっている実態にそぐわない」として男女差を解消する方向で検討に入った。具体的には、配偶者が亡くなったときに60歳未満で子どもがいない人について性別にかかわらず受給できるようにし、期間はいずれも5年間とする方向。ただ、男女の就労環境には今も差があることから妻の受給期間の5年間への短縮は段階的に行うほか、すでに受け取っている人は制度改正の対象としない方針。また、5年間の受給額を現行制度よりも増やすことも検討されている。厚生労働省はこうした案を来週開く審議会に示し、議論することにしている。