日本最大の湿原釧路湿原。雄大な自然の中で国の特別天然記念物「タンチョウ」など多くの希少な生物が生息。しかし先月撮影されたドローンの映像には木を押し倒すショベルカーや土砂を下ろすダンプカーの様子が映っていた。この工事の事業主は大阪市に本社を置く日本エコロジー。サッカー場6面ほどの広さにソーラーパネル6600枚の設置工事を進めていたが一時中断する方針を示している。釧路市によると建設が進められている現場は国立公園外の民有地であり、自然公園法の規制はない。土地を所有しガイドラインに従って届け出を提出すれば工事は可能だという。しかし、なぜいま日本エコロジーによる工事がトラブルになっているのか。これには「調査の内容について」「建設の範囲」「書類の不備」という3つの理由がある。猛禽類医学研究所の齋藤慶輔代表は「タンチョウの後ろで大音響を立てながら大々的に工事が行われていた」など工事が希少な野生生物に与える影響について指摘。工事現場は規制保護区とは1キロ以上近く離れた場所にある民有地。ガイドラインによると事業者は工事60日前までに市長あてに届け出をしなければならない。天然記念物の保存に影響を及ぼす行為は文化庁長官の許可を必要とするが影響が軽微な場合は許可を必要としない。それを証明するため工事前にまず釧路市が運営する博物館に調査報告書を提出し許可をもらう必要がある。日本エコロジーは去年12月と今年3月に調査結果を博物館に提出した。博物館によると釧路湿原に生息する天然記念物「オジロワシ」の調査は本来繁殖期である2月中旬から9月下旬まで最低でも毎月3日間調査が行われるべきとされている。しかし、今回の調査は繁殖期が終わった去年10月に3日間しか行っていなかったという。また、タンチョウについても専門家へのヒアリングのみでは不十分なため、博物館側は正式な調査報告書が提出されるのを待っていたという。一方、日本エコロジーは報告書を提出したあとに博物館からは返信がなかったため、手続きが完了したと思い工事に着手したと主張している。こうした中メガソーラー建設に関する新たな問題を北海道が公表。日本エコロジーが盛り土工事をするための必要な届け出をしていなかったという。日本エコロジーは「認識が甘かった」などと説明、改めて届け出を提出しきのう受理された。残りの「建設の範囲」「書類の不備」もついては明日の放送でお伝えする。
住所: 北海道釧路市春湖台1-7