アイヌに伝わるムックリという楽器、弁についた紐を引っ張ることで出る振動を口の中で響かせる。こうした仕組みの楽器は口琴と呼ばれ、世界各地で親しまれている。その国際大会が10月に北海道で開かれた。国際口琴大会には25の国・地域から約150人が参加した。大会を開催した山本栄子さんはアイヌにルーツを持ち、アイヌ文化の伝承に長年取り組んできた。今回の大会で山本さんが再会を待ち望んでいたのがサハ共和国の人たち。サハ共和国は口琴の演奏が盛んで多くの人が親しんでいる。現地で使われるホムスという口琴は学校で授業も行われている。山本さんとサハ共和国奏者との出会いは27年前。口琴の大会で山本さんたちがアイヌの踊りを披露したときに、サハ共和国の人たちが自然と踊りの輪に加わってきた。大会前日、山本さんはサハ共和国の人たちを空港で出迎え、5年ぶりの再会となった。山本さんがサハ共和国の人たちのために用意した特別なステージはアイヌとサハの口琴の共演。サハ共和国の奏者は口琴が共通の言語として今より多くの役割を果たすことができると考えている。
