中国はハイテク分野への支援をさらに加速させることを打ち出したが、「自立自強」は実現するのか。上海市局・山口博之に聞く。全人代の開幕式が開かれた夜、深センでは中国の自動車大手BYDの技術発表会があった。今回発表した急速充電システムでは9分でフル充電でき、最大1036kmの航続距離を実現する。BYDが独自の技術で開発したブレードバッテリーの第2世代となる製品。リン酸鉄リチウムイオン電池に分類されるもので、安全性が高く長寿命などといった特長がある一方、航続距離が短いのが弱点だった。BYDは長く薄い刀状のバッテリーパックを敷き詰めてエネルギーの密度を高め、電池の搭載容量を大きくし航続距離を伸ばした。第2世代は現行モデルに比べて安全性を高め航続距離を伸ばしたほか、気温の低い環境での性能低下も改善した。今後も続く世界を舞台にしたEVをめぐる覇権争いを見据えているものとみられる。政府活動報告のハイテク分野ではAI(人工知能)が重視される一方、新エネルギー車は今年の指針には具体的に明示されなかった。BYD関係者は「新エネルギー車の市場が成熟してきたことを意味する」と評価した。EVをめぐっては去年、「内巻」と呼ばれる価格競争が激化したほか、今年1月から自動車取得税の免除額が縮小された。BYDは新車販売台数が6カ月連続の前年割れとなった。海外の販売台数は国内を逆転し、輸出台数も4カ月連続で10万台を超えた。バッテリーなど核心技術を内製化し、海外展開を加速させるBYDは中国にとってハイテク分野の自立自強を体現する企業の一つ。
