青森市に住む窪田梨絵さん。去年8月に新型コロナに感染。およそ9か月たった今も微熱や体の痛みなどの症状に悩まされている。陰性になったあとも原因不明の発熱が続いていた窪田さん。最初に相談したクリニックでは、解熱剤を処方されただけで詳しい説明はほとんどなかった。その後、自分で情報を集めて医療機関を転々とし、症状が出ておよそ2か月後5か所目でコロナ後遺症と診断を受けた。体調が戻らないため仕事を辞め、現在は家族の支えの下で暮らしているが、以前のように働ける見通しも立たず、不安は尽きない。一方、コロナ後遺症外来を設けている都内のクリニックには全国から相談が相次いでいる。ある女性は息苦しさなどの症状が続いているとして自宅からおよそ1時間かけて通っている。クリニックでは、薬の処方以外にも運動療法や呼吸法の指導なども行っていて、多くの患者は症状が改善する傾向にある。さらにオンライン診療の依頼も全国から数多く寄せられている。この日は予約開始10分で40件近くの申し込みがあった。クリニックの医師は患者がそれぞれの地域で継続した治療を受けられる体制が必要だと感じている。専門家は地域の医療機関が対応できるよう後遺症の情報を共有していくことが必要だと指摘する。厚生労働省は後遺症の診療に当たる医療機関のリストを公開するよう自治体に呼びかけるとともに後遺症の原因解明や治療法の開発に向けた研究も進めることにしている。